企業概要 — 1976年創業から50年、ベネ・ワン売却で身軽になった日本HR業界第3位

株式会社パソナグループは、1976年2月に当時23歳の南部靖之(なんぶ やすゆき、1952年1月5日生まれ)が 関西大学工学部を卒業する1か月前に大阪市北区で創業した 「テンポラリーセンター株式会社」を起源とし、 50年の歳月を経て連結売上高3,092億円・連結従業員22,982名・連結子会社62社のグループへ進化した日本のHR業界第3位の総合人材サービス企業である。 1986年の労働者派遣法施行と同時に一般労働者派遣事業許可を取得、1993年に「パソナ」へ社名変更、 2007年12月に純粋持株会社「パソナグループ」を設立して東証一部上場(現プライム市場、証券コード2168)した。

パソナの立ち位置は、日本のHR業界において独特だ—— リクルートホールディングス(売上3.55兆円、時価総額11兆円、PBR 6.58倍)と パーソルホールディングス(売上1.45兆円、時価総額5,300億円、PBR 2.50倍)の2強に対し、 売上では3,092億円とリクルートの約11分の1・パーソルの約4.7分の1にとどまる第3位として、 PBR 0.51倍という解散価値割れに沈んでいる。 しかし国内派遣マージン率は約30.8%とパーソル(約25%)を上回る業界最高水準、 全国420自治体超で受託する官公庁BPOの圧倒的シェア、 そして2008年から続く淡路島での地方創生事業と、 「規模で勝てない代わりに、社会課題解決軸で独自ポジションを取る」戦略を50年貫いてきた。

社名「PASONA」は、1993年6月の商号変更時に「Personnel(人材)+ Sona(最良の響き)」を含意する造語として定められた。 創業以来掲げる思想「社会の問題点を解決する」は50年間一度も変わっておらず、 リクルート(江副浩正の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」)や パーソル(篠原欣子の「働きたい女性のために」)と並ぶ 日本HR3社の「創業者の問題意識が会社のDNAになっている」希少例である。 ただしパソナの問題意識は「個別の課題(女性/障がい者/シニア/地方/外国人材)を一つひとつ事業化する」という総花的な性格を持ち、 これが規模拡大の鈍さと、官公庁BPO・地方創生といった「収益化が難しい社会課題」への深いコミットメントを同時に生んできた。

50年の沿革 — 大阪の小さな事務所から東証プライム・淡路島本社へ

パソナの物語は、1952年1月5日生まれの南部靖之が、関西大学工学部4年生だった1975年、 21〜22歳のときにオイルショック後の労働需給の構造変化のなかで 「結婚・出産で職場を離れた女性が再び働ける社会を作りたい」という強い問題意識を抱いたところから始まる。 当時の日本ではまだ「労働者派遣」という概念自体が法制化されておらず、 人材派遣ビジネスは法的にも社会的にも「未開の地」だった。 南部は卒業を1か月後に控えた1976年2月、23歳のときに大阪市北区で「テンポラリーセンター株式会社」を創業する。

南部靖之、神戸市で誕生

後にパソナグループ創業者となる人物の生誕。後にソフトバンクの孫正義(1957年生)、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄(1951年生)と並ぶ「ベンチャー三銃士」の最年少格として戦後ベンチャー史を牽引する

23歳でテンポラリーセンター株式会社を創業

関西大学工学部を卒業する1か月前、大阪市北区で「家庭の主婦の再就職を応援する」を理念に創業。日本における人材派遣ビジネスの草分け。法制化前の事業として始まり、同年中に東京都中央区にも事務所を開設

労働者派遣法施行と同時に一般労働者派遣事業許可を取得

創業10年目、ようやく派遣ビジネスが法的に正式な業として認可され、テンポラリーセンターは制度化された市場の最先端プレイヤーに

障害者雇用促進企業「テンポラリーサンライズ」設立

ダイバーシティ&インクルージョンの先駆け。後のパソナハートフルにつながる障がい者雇用支援事業の起点

社名を「株式会社パソナ」へ変更

「Personnel(人材)+ Sona(最良の響き)」の造語。総合人材サービス企業への脱皮宣言

就職氷河期対策「女子大生支援プロジェクト」発足

バブル崩壊後の就職難に対する社会課題解決型事業のパイオニア

高齢者特例労働者派遣事業を開始

シニア活用の先行事例。同年1月の阪神・淡路大震災が後の淡路島地方創生の原点となる

ナスダック・ジャパン市場上場

新興市場で初の人材会社上場。創業から25年、ようやく株式公開に到達

東京証券取引所市場第一部へ指定替え

大企業としての位置を確立

株式移転により株式会社パソナグループ設立、東証一部上場

純粋持株会社制への移行。パソナを完全子会社化し、グループ経営体制を確立。後の多角化M&Aの土台となる

「パソナチャレンジファーム」を淡路島で開始

独立就農支援プログラム。後に2020年の本社移転へとつながる淡路島地方創生事業の起点

元政治家・竹中平蔵氏が取締役会長に就任(〜2022年)

小泉政権の労働市場規制改革を主導した竹中氏の参画。政府の派遣解禁政策と連動した「政商」批判もあったが、官公庁案件の獲得力には大きく寄与

韓国「Pasona Korea」設立、グローバル展開本格化

1984年の香港進出に続くアジア展開。現在は15ヵ国・55拠点へ

閉校小学校を活用した複合施設「のじまスコーラ」開業

淡路島地域活性化施設の先駆け。地方創生×建築リノベーション×食農連携の事業化

東京駅日本橋口に「JOB HUB SQUARE」開設

クラウドソーシング・地方創生連動の中核拠点。フリーランス・副業マッチング事業の本格化

東京2020オリンピック・パラリンピック「オフィシャルサポーター(人材サービス)」契約締結

国家プロジェクトの人材インフラを担う一方、後に「日当35万円」報道で国会論争の対象に

東京本社の主要機能を兵庫県淡路島へ移転すると正式発表

コロナ禍を契機とした「分散型本社」モデル提唱。約1,200名の社員移住計画を打ち出し、大企業による地方移転の社会的象徴に

経産省 持続化給付金事業の事務局運営を「サービスデザイン推進協議会」経由で受託

電通749億円→パソナ400.5億円という多層下請け構造が「中抜き」批判として国会で議論される論争を生む

子会社ビーウィズが東証プライム上場

コンタクトセンター/BPO中核会社の独立上場。グループ複数上場体制が確立

エムスリーがベネフィット・ワンへの公開買付け(TOB)を発表

買付価格1,600円。パソナ保有のベネ・ワン株(51%)の処遇が焦点に。日本のM&A史で異例の対抗TOB劇の幕開け

第一生命HDが対抗TOBを表明、パソナは第一生命への売却に合意

買付価格2,173円・買収総額約2,921億円(エムスリーTOB公表前日終値比プレミアム80%超)。パソナはストップ高、ベネ・ワン売却益約1,120億円を計上見込み

第一生命HDのTOB成立、ベネフィット・ワンが第一生命の完全子会社化(上場廃止)

パソナは2024年5月期に関係会社株式売却益112,060百万円を特別利益計上、当期純利益95,891百万円(前期比+1,472%)。グループ史上最大級の事業ポートフォリオ再編

大阪・関西万博開幕、パビリオン「PASONA NATUREVERSE」公開

iPS細胞由来の「動く心臓」展示で話題化。出展関連費用4,821百万円を2025年5月期に特別損失計上

創業者・南部靖之が同年5月31日付で代表兼社長CEO退任を発表

創業50年の節目に「次の50年は新体制で」と宣言。在任49年、副社長・若本博隆(64)が後任CEOに昇格予定

南部靖之が代表退任、若本博隆が社長CEO就任

世代交代の第一段階。49年続いた創業者経営からプロ経営者体制への移行

「PASONA GROUP VISION 2030」と累進配当制度を発表

売上4,000億円・経常利益率5%・ROE 8%以上・PBR 1倍超目標。配当性向40%目処、1株75円下限の累進配当を新導入

若本博隆が会長CEO、中尾慎太郎常務執行役員(50)が社長に就任

世代交代の第二段階。創業者→若本→中尾の二段階委譲が3か月という短期間で進む異例の体制移行

健康経営支援サービスの本格提供開始、3兆円市場へ参入を表明

人材業に次ぐ「第2の柱」と位置づけ。デジタルヘルスのドクターズと提携し「Wellness Cloud」を提供

FY2026 第3四半期累計で売上+0.2%・営業損失13.3億円と再失速

1月の通期上方修正後に失速。販管費先行で利益圧迫、PBR 0.51倍からの脱出シナリオは依然不透明

この50年の物語のなかでも、4つの転換点が決定的だった。 ①1986年の労働者派遣法施行——南部が創業10年「未開の業」を続けた末、ようやく制度化された市場の最先端プレイヤーになれた瞬間。 ②2007年12月の持株会社化+東証一部上場——後の多角化M&Aと地方創生・観光投資の資本基盤。 ③2020年9月の淡路島本社移転発表——「分散型本社」という日本企業として極めて先進的なガバナンス実験で、東京一極集中からの離脱モデル。 ④2024年2〜5月のベネフィット・ワン売却——第一生命対抗TOBで2,921億円を獲得、グループの主要利益柱(ベネ・ワンは2023年5月期時点でグループ営業利益の7割超を占めていた)を売り切って身軽になった「第二の創業」前夜。 これらの変曲点を通じてパソナは、「派遣会社」から「社会課題解決+地方創生+ウェルビーイングの総合体」へと自己再定義を続けてきた。

創業者・南部靖之の物語 — 「ベンチャー三銃士」と「社会の問題点を解決する」

パソナのカルチャーを理解するうえで、創業者・南部靖之(1952年1月5日生)の物語は欠かせない。 神戸市生まれ、関西大学工学部在学中の1976年2月、卒業を1か月後に控えた23歳のときに 大阪市北区で「テンポラリーセンター」を創業。 創業の動機は、当時の日本社会で当然視されていた「結婚・出産で女性は退職する」状況に対する 「家庭の主婦が再び働ける仕組みをつくりたい」という社会課題意識だった。 当時はまだ労働者派遣の概念すら法制化されておらず、文字通り「未開の業」を切り拓く挑戦だった。

南部の物語の核心は、「個別の社会課題を一つずつ事業化する」という総花的かつ徹底的な姿勢にある。 女性が働けない→人材派遣を立ち上げる(1976年)。障がい者が働けない→テンポラリーサンライズを設立する(1989年)。 シニアが働けない→高齢者特例労働者派遣事業を開始する(1995年)。 就職氷河期世代が働けない→女子大生支援プロジェクトを始める(1994年)。 地方が衰退する→淡路島で就農支援を始める(2008年)。コロナで本社が機能しない→淡路島へ本社を移す(2020年)。 この「気になる社会課題は全部事業にする」というアプローチが、 リクルートの「機会創出プラットフォーム」やパーソルの「キャリアオーナーシップ」とは異なる、 パソナ独特の"事業の総花性"を生んでいる。

ただしこの総花的アプローチには光と影の両面がある。光は「規模で勝てなくても独自ポジション」を確保できること—— リクルートが米国Indeedで世界覇権を狙い、パーソルが豪Programmedで「アジアのフルスタックHR」を目指すなか、 パソナは「女性活用・地方創生・官公庁BPOで日本社会に深く根を張る」という独自路線を貫けた。 影は「収益化が難しい事業を捨てきれず、利益率が薄くなる」傾向で、 2025年5月期の地方創生・観光ソリューションは△1,900百万円の営業赤字、ライフソリューションも△26百万円の赤字を抱える。 PBR 0.51倍という解散価値割れは、市場が「事業の総花性」を構造的なディスカウント要因と見ているシグナルでもある。

6セグメント体制とビジネスモデル

パソナグループは、2024年5月のベネフィット・ワン売却を機に、2025年5月期から事業セグメントを大幅に再編した。 旧「アウトソーシング(ベネ・ワン中心)」セグメントを廃止し、 従来のHRサービスをBPO・エキスパート・キャリアの3つに分解するとともに、 地方創生・観光ソリューションを独立セグメントへ昇格させ、 全体で6セグメント体制へ移行した。 これは「ベネ・ワン売却で失った利益柱を、官公庁BPOと地方創生・観光・健康経営で埋める」という戦略的ポートフォリオ再構築の現れである。

graph TB
    HD["パソナグループ(2168)<br/>東証プライム<br/>連結従業員 22,982名<br/>連結子会社 62社"]
    HD --> BP["BPOソリューション<br/>売上 1,372億円<br/>官公庁・自治体420超"]
    HD --> EX["エキスパートソリューション<br/>売上 1,348億円<br/>マージン率30.8%(業界最高)"]
    HD --> CR["キャリアソリューション<br/>売上 145億円<br/>営業利益率34.8%(最高)"]
    HD --> GL["グローバルソリューション<br/>売上 114億円<br/>15ヵ国55拠点"]
    HD --> LF["ライフソリューション<br/>売上 86億円<br/>保育・介護"]
    HD --> RG["地方創生・観光ソリューション<br/>売上 71億円<br/>淡路島中心"]

    BP --> PSN["株式会社パソナ<br/>BPO中核"]
    BP --> Bewith["ビーウィズ(東証上場)<br/>コンタクトセンター"]
    BP --> PHS["パソナHRソリューション"]

    EX --> PEX["パソナ(派遣事業)<br/>登録40万人超"]
    EX --> PTech["パソナテック<br/>IT人材派遣"]

    CR --> PCR["パソナキャリア<br/>人材紹介・再就職支援"]

    GL --> PGL["パソナグローバル<br/>15ヵ国55拠点"]
    GL --> Caprivi["Caprivi(外国人材)"]

    LF --> Foster["パソナフォスター<br/>保育施設約100ヶ所"]
    LF --> LCare["パソナライフケア<br/>介護"]

    RG --> NM["株式会社ニジゲンノモリ<br/>淡路島テーマパーク"]
    RG --> NA["パソナ農援隊<br/>独立就農支援"]
    RG --> NV["PASONA NATUREVERSE<br/>2025年万博・健康経営"]

    style HD fill:#3b82f6,color:#fff
    style BP fill:#8b5cf6,color:#fff
    style CR fill:#f97316,color:#fff
    style RG fill:#14b8a6,color:#fff
    style NV fill:#ec4899,color:#fff
パソナグループの6セグメント構造(2025年5月期再編後)。BPO・エキスパート・キャリア・グローバルが従来からの中核で、ライフ(保育・介護)と地方創生・観光が「第2の柱」候補。2024年5月のベネフィット・ワン売却で旧アウトソーシングセグメント(営業利益7,615百万円)が消失したため、BPOと地方創生・観光に成長期待が集中している
セグメント FY2025売上 前年比 営業利益 利益率 主要事業
BPOソリューション 1,372億円 △7.0% BPO+派遣で97.59億円(△15.7%) 合算3.6% 官公庁・自治体BPO(420超の取引先)、コールセンター、給与計算、AIO(AIエージェント連動BPO)
エキスパートソリューション 1,348億円 △1.7% 同上に合算 合算3.6% 人材派遣(マージン率30.8%は業界最高)、登録40万人超、専門職・ハイスキル領域に特化
キャリアソリューション 145億円 +11.1% 50.48億円(+24.9%) 34.8%(最高) 人材紹介(成功報酬30〜35%)、再就職支援(全47都道府県、累計支援6,000社超)、ハイキャリア紹介
グローバルソリューション 114億円 +3.5% 4.01億円(+48.3%) 3.5% 15ヵ国55拠点(北米・アジア中心)。台湾半導体派遣、シンガポール紹介が伸長
ライフソリューション 86億円 +10.7% △0.26億円 赤字 認可保育園・学童約100ヶ所、家事代行、介護(パソナフォスター・パソナライフケア)
地方創生・観光ソリューション 71億円 +7.2% △19.0億円 赤字(縮小) ニジゲンノモリ、HELLO KITTY SMILE、青海波、のじまスコーラ、PASONA NATUREVERSE
消去または全社 △44億円 △145.19億円 持株会社コスト等
連結合計 3,092億円 △13.3% △12.37億円 △0.4% 万博特損48.21億円含む

注目すべきは、キャリアソリューションの営業利益率34.8%という驚異的な高収益性である。 人材紹介ビジネスは理論年収の30〜35%を成功報酬として受け取るフロー型ビジネスで、 特に再就職支援(アウトプレースメント)は固定型コンサルフィーで継続収益化できる。 パソナは1995年から「セーフプレースメント」を体系化し、 全47都道府県でのカウンセリング〜求人開拓〜再就職支援のフルパッケージを提供しており、 累計約6,000社の企業が利用してきた。 ジョブ型雇用シフトと早期退職プログラムの増加で、この事業は中長期的に追い風が続く見込みだ。

バリューチェーン — 「人を集める→活かす→社会課題を解く」

パソナのバリューチェーンを概観すると、「多様な属性の人材プール」を入口とし、 「マッチング・派遣・紹介・BPO・観光・農業」という多様な出口で社会課題を解く構造が見える。 リクルートが「求人媒体(Indeed等)からのデータドリブン・マッチング」、 パーソルが「派遣+転職プラットフォームdoda」を主軸にするのに対し、 パソナは「人材の集め方そのものに社会課題解決を組み込む」独特のモデルを持つ。

graph LR
    A[人材プール集客] --> B[スクリーニング・教育]
    B --> C[マッチング]
    C --> D[提供・運用]
    D --> E[アフター・継続]
    E --> A

    A1["求人媒体・パソナHP登録<br/>JOB HUB(フリーランス)<br/>PROSHARE(顧問・プロ人材)<br/>淡路島誘致(アントレシップ社員)"] -.-> A
    B1["キャリアカウンセリング<br/>スキル診断<br/>パソナフォスター教育<br/>研修コンテンツ"] -.-> B
    C1["派遣(エキスパート)<br/>紹介(ハイキャリア)<br/>顧問契約(PROSHARE)<br/>業務委託(BPO・JOB HUB)"] -.-> C
    D1["派遣スタッフ稼働<br/>BPOセンター運営<br/>自治体窓口運営<br/>保育園運営<br/>観光施設運営(ニジゲンノモリ)"] -.-> D
    E1["キャリア相談継続<br/>再就職支援(リプレース)<br/>顧問の継続契約<br/>顧客企業の新案件横展開"] -.-> E

    style A fill:#3b82f6,color:#fff
    style C fill:#8b5cf6,color:#fff
    style D fill:#f97316,color:#fff
    style E fill:#14b8a6,color:#fff
パソナグループのバリューチェーン。多様な属性(女性/障がい者/シニア/フリーランス/顧問/外国人/地方移住者)を入口で集め、派遣・紹介・BPO・保育・観光・農業の幅広い出口で社会課題を解く。リクルートのデータドリブン型・パーソルの派遣+紹介ハイブリッド型と異なる「総花型」がパソナのDNA

財務 — ベネ・ワン売却で激変した10年と万博特損で赤字転落の現在

パソナグループの過去10年の業績は、「2024年5月期のベネフィット・ワン売却益と2025年5月期の万博特損」という2つの特殊要因によって極端な変動を見せている。 2024年5月期は関係会社株式売却益1,120億円により純利益が前期比+1,472%の959億円に達し、ROE 94.7%・自己資本比率49.3%と異常値を記録。 続く2025年5月期は売却で利益柱を失った反動と、万博パビリオン「PASONA NATUREVERSE」関連の特別損失48.21億円が重なり、 売上3,092億円(△13.3%)・営業損失12.37億円・純損失86.58億円と赤字転落した。

パソナグループ 過去10年業績推移(2016/5期〜2026/5期計画)

2024/5期の純利益959億円はベネフィット・ワン売却益約1,120億円計上による特殊要因。2025/5期は売却反動と万博特損48億円で営業赤字に転落、2026/5期計画は売上+6.7%・営業利益25億円・純利益5億円と黒字転換を目指す

6セグメント別 売上規模と前年比成長率(FY2025)

特に重要なのは、ベネフィット・ワンが2023年5月期時点でパソナ連結営業利益の7割超を占める中核子会社だったという事実だ。 売却によりパソナグループは収益柱を失い、これをX-TECH BPO(AI/デジタル活用の高付加価値BPO)地方創生・観光・健康経営で埋める構造的課題に直面している。 2025年5月期の営業赤字転落は、この「ベネ・ワン抜きの地力」が問われた最初の通期で、 BPO大型案件のピークアウトに伴う減収(△7.0%)と、エキスパート派遣稼働低下(△1.7%)、 そして万博出展特損48.21億円が直撃する形となった。 2026年5月期計画は売上3,300億円(+6.7%)・営業利益25億円・純利益5億円で黒字転換を見込むが、 第3四半期累計(2026年4月14日発表)は売上+0.2%・営業損失13.3億円と再失速しており、 通期黒字転換シナリオの蓋然性は依然不透明である。

flowchart LR
    Sale["ベネフィット・ワン売却益<br/>1,120億円"]
    Sale --> Growth["成長投資<br/>650億円<br/>(58%)"]
    Sale --> Base["経営基盤強化<br/>300億円<br/>(27%)"]
    Sale --> Return["株主還元<br/>170億円<br/>(15%)"]

    Growth --> NewBiz["新規事業<br/>健康経営・地方創生・観光"]
    Growth --> MA["M&A<br/>NTTヒューマン等4社(2024)"]
    Growth --> Capex["設備投資<br/>淡路島・万博"]

    Base --> DX["DX<br/>3,000人育成へ"]
    Base --> HR["人的資本<br/>高度専門人材20%へ"]
    Base --> Fin["財務基盤<br/>自己資本比率50.9%"]

    Return --> Div["特別配当60円<br/>×5期連続(2024-2028)"]
    Return --> Buy["自社株買い"]

    style Sale fill:#ec4899,color:#fff
    style Growth fill:#3b82f6,color:#fff
    style Base fill:#8b5cf6,color:#fff
    style Return fill:#14b8a6,color:#fff
ベネフィット・ワン売却益1,120億円の使途配分(2024年2月発表)。成長投資650億円・経営基盤強化300億円・株主還元170億円という3分割は「成長投資58%・株主還元15%」のバランスで、市場からは「還元が薄い」と評価された。累進配当75円下限の制度設計はこの還元計画と整合的

淡路島本社移転 — 「分散型本社」5年目の通信簿と地方創生事業の集積

パソナグループの戦略のなかで、最も野心的かつ象徴的なのが2020年9月発表の淡路島本社移転である。 コロナ禍を契機に東京本社の主要機能(人事・経営企画・採用・総務・研修・地方創生事業)の一部を兵庫県淡路島へ移転し、 約1,200名の社員移住を計画した。 起点は1995年1月の阪神・淡路大震災の被災地復興支援にあり、25年越しの「同化する生き方」(日経BP)を実践した、 日本企業として極めて先進的なガバナンス実験である。

淡路島には、パソナが「クリエイティブ・アイランド」化を狙って投資してきた多様な施設群が集積している。 ニジゲンノモリ(NARUTO&BORUTO 忍里、ゴジラ迎撃作戦、ドラゴンクエスト アイランド、クレヨンしんちゃんアドベンチャーパーク等)、 HELLO KITTY SMILE / SHOWBOX、 全席海面ロケーションの「青海波(SEIKAIHA)」(鮨・天ぷら、洋食、劇場、古酒の4施設複合、2020年開業)、 オーベルジュ フレンチの森、農家レストラン陽・燦燦、海神人の食卓、 隈研吾設計の座禅リトリート「禅坊 靖寧」、 コクーン型グランピング「GRAND CHARIOT 北斗七星135°」、 そして2025年4月開幕の大阪・関西万博パビリオン「PASONA NATUREVERSE」(iPS細胞由来の動く心臓展示で話題化)である。

ただし地方創生・観光ソリューションは2025年5月期に営業損失△19.0億円と赤字を抱えており(前期△26.7億円から赤字幅は縮小)、 原材料高騰・人件費増・大規模投資の固定費負担が収益化を圧迫している。 PASONA NATUREVERSE関連の特別損失48.21億円も2025年5月期決算を直撃した。 しかし2026年6月23日には淡路島岩屋(北部)にウェルビーイング滞在施設「THE PASONA natureverse retreat」(神戸大学医学部附属病院との連携、第一期11室)を開業予定、 万博で延べ10万人以上が体験した「モンスターハンター ブリッジ」も2027年度にニジゲンノモリへ移設予定で、 2026年5月期は売上100億円計画(+41.2%)と本格成長を狙う。

官公庁BPOの光と影 — 持続化給付金・五輪日当・ワクチン過大請求

パソナのもう一つの強みは、全国420自治体超で受託する官公庁BPOの圧倒的シェアである。 経産省持続化給付金事業、新型コロナワクチン接種会場運営、東京2020オリンピック関連、 雇用調整助成金事務、東京都「女性しごと応援テラス」、各種職域接種、保健所支援—— パソナグループの官公庁・自治体BPOは日本社会のインフラとして広範に機能してきた。 しかしこの強みは、同時にレピュテーションリスクの主要源でもある。

案件 時期 内容 論争点
経産省 持続化給付金事業 2020年5月〜 サービスデザイン推進協議会(電通・パソナ・トランスコスモス3社設立)→電通749億円→パソナ400.5億円外注の多層下請け構造 「中抜き」批判で国会論争。サービスデザイン推進協議会の職員21名すべてが再委託先からの出向者と判明、564社が9次下請けまで関与した実態が東京新聞等で報道
東京2020オリンピック・パラリンピック 2018年1月〜2021年 人材サービスのオフィシャルサポーター契約。競技会場スタッフ単価が組織委内部資料で1日20〜35万円と記載される一方、実際の募集時給はマネージャー級1,650円程度 PRESIDENT Online等で「9割中抜き」批判が国会で議論。下請け構造の不透明さが社会的論争に
新型コロナワクチン予約・接種会場運営 2021年〜 大阪府吹田市・枚方市、兵庫県西宮市等の自治体から受託。再委託先エテル社による応答率改ざん発覚 約10億8,000万円の過大請求問題(吹田2.7億/西宮4.5億/枚方3.6億)。パソナが返納対応(時事通信2023/2、MBSニュース)。2023年2月10日にパソナ公式リリースで謝罪
雇用調整助成金関連 2020年〜 厚労省案件のコールセンター・事務局運営 大規模下請け構造の透明性が論点
マイナンバー関連業務 2015年〜 自治体窓口対応、コールセンター 個人情報管理の運用負荷

これらの論争は、「政府が政策を実行する際の人的インフラを誰が担うか」という構造問題を浮き彫りにする。 パソナは「全国拠点網×大規模オペレーション×省庁人脈(南部靖之氏含む創業家ネットワーク+2009〜2022年の竹中平蔵会長時代の蓄積)」という独自のケイパビリティを持ち、 他社では受けきれない大型・短期・全国展開型の官公庁案件を遂行できる。 しかしこの「誰も代わりがいない」状態は、再委託管理ガバナンスの脆弱性が露呈すると、 そのまま社会的批判として直撃する構造でもある。 2025年5月期のBPOソリューション売上が△7.0%減収となった背景には、 大型受託案件のピークアウトと並んで、こうしたレピュテーションリスクへの企業ESG格付・入札評価でのディスカウントが静かに効いている可能性がある。

3社比較 — パソナ vs リクルート vs パーソル

日本のHR業界における3強——リクルートホールディングス、パーソルホールディングス、パソナグループ——は、 同じ「人材」業界に属しながら戦う土俵が全く異なる。 以下は2024〜2025年通期決算を基にした3社の比較である。

項目 リクルートHD(6098) パーソルHD(2181) <strong>パソナG(2168)</strong>
連結売上高(直近期) 3兆5,619億円(FY2025/3) 1兆4,512億円(FY2025/3) 3,092億円(FY2025/5)
営業利益 5,400億円(+10.1%) 574億円(+10.3%、過去最高) △12.37億円(赤字転換)
営業利益率 15.2% 4.0% △0.4%
時価総額 約10.8兆円 約5,300億円 約709億円
PER(予) 21.7倍 12.5倍 赤字のため算出不可
PBR 6.58倍 2.50倍 0.51倍(解散価値割れ)
配当利回り(予) 0.34% 4.73% 4.25%
ROE 22.6% 18.8% 低位(赤字)
海外売上比率 約55%(Indeed/Glassdoor牽引) 約33%(APAC 13カ国) 数%(国内特化)
派遣マージン率 約28% 約25% 約30.8%(業界最高)
派遣単価/日 中位 中位 17,496円(業界最高)
主要プラットフォーム Indeed・Glassdoor・リクナビ・リクルートエージェント doda(会員1,032万人)・dodaX・HiPro JOB HUB・PROSHARE(プロ人材1.5万人)
戦略軸 グローバルHRテックOS化 アジアのフルスタックHR・テクノロジードリブン 社会課題解決・地方創生・官公庁BPO
創業者・理念 江副浩正「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」 篠原欣子「働きたい女性のために」 南部靖之「社会の問題点を解決する」

この比較から見えるのは、パソナが「規模・収益効率の競争」では2社に大きく劣後する一方、「派遣マージン率と派遣単価の高さ」「配当利回り4.25%」「PBR 0.51倍」という3つの数字が独自の物語を語っているという事実である。 ①派遣マージン30.8%・単価17,496円という業界最高水準は、専門職・ハイスキル領域に特化した結果で、 量で勝てない代わりに質で勝つ姿勢の表れ。 ②配当利回り4.25%は累進配当75円下限の制度設計による高水準で、株主還元の手厚さで投資家を引き留める戦術。 ③PBR 0.51倍の解散価値割れは「事業の総花性」を市場が構造的にディスカウントしているシグナルで、 VISION 2030の「PBR 1倍超」目標達成の難易度を示している。

リクルートが2025年7月にIndeed/Glassdoorで1,300人削減を断行する一方で、 パーソルが過去最高益を更新し2025年10月に仏Gojob SAS買収(122百万ユーロ・約215億円・85%取得)でDX銘柄2026に初選定された—— この「米国HRテック調整局面でリクルート守勢、日本市場深掘りでパーソル攻勢」という対比のなかで、 パソナは「第3の道」として社会課題解決と地方創生で独自路線を貫いている。 どちらの道が長期的に勝つかは、AI時代の労働市場がどちらの方向に進化するかに依存するが、 パソナの50年の蓄積が容易に他社で再現できないことは確かである。

経営チーム・組織文化 — 創業者退任後の二段階世代交代

2025年4月14日、創業50年の節目に南部靖之氏(73)が同年5月31日付で代表兼社長CEOを退任することが発表された。 在任49年は日本の上場企業創業者として極めて長期で、退任時のコメントは 「次の50年に向けて新体制の下で、新しいパソナGを築いていってほしい」だった。 この発表を受けて2025年5月31日に副社長の若本博隆(64)が社長CEOへ昇格、 さらに2025年8月22日には若本氏が会長CEO、 常務執行役員の中尾慎太郎(50)が社長へ就任するという二段階の世代交代を3か月という短期間で断行した。

パソナの組織文化の核心は、「個人の社会課題意識を会社の事業に翻訳する」姿勢にある。 女性活用パイオニアとして1976年から50年蓄積された女性管理職比率48〜54.6%は、 リクルート・パーソルを含む日本のプライム企業の中でも極めて高い水準。 社外取締役比率40%、副社長クラスに女性2名(深澤旬子・山本絹子)の登用、 「ワンダーウーマン研修」修了者からの社長・執行役員多数輩出—— これらはすべて「女性活用の言葉だけでなく、構造として実装されている」ことを示している。

戦略・展望 — 「VISION 2030」と健康経営3兆円市場参入

2025年7月17日、新体制下の最初の重要発表として「PASONA GROUP VISION 2030」が公表された。 これは2026年5月期〜2030年5月期の5ヵ年計画で、ベネフィット・ワン売却で身軽になった事業ポートフォリオを 「BPO高付加価値化(X-TECH BPO)/地方創生・観光ソリューション/新産業創造(NATUREVERSE)」の3本柱で立て直す設計である。

中尾慎太郎社長(2025年8月就任)の特徴は、「BPO×テクノロジー」を旗印にした業務提携の連打である。 2026年に入ってから矢継ぎ早に発表された案件は—— ①2026年3月23日 ドクターズと提携し「Wellness Cloud」を提供、健康経営3兆円市場参入を表明(日経1面ビジネスTODAY)。 ②2026年4月2日 HIPUSと金型管理BPOで提携。 ③2026年4月10日 「DX銘柄2026」選定、台北医学大学とMOU。 ④2026年4月16日 京セラ・JTBと電子投開票システム「デジ選」協業。 ⑤2026年4月27日 パソナJOB HUBがアーシャルデザインと提携、「スポーツタレントシェアリング」事業開始。 これらは創業者・南部靖之氏が築いた淡路島・文化事業の路線を維持しつつ、 AI・BPO・テクノロジーへ重心を移動する明確な戦略転換のシグナルである。

さらに重要なのが、2026年3月23日の健康経営支援サービス本格提供開始だ。 日本経済新聞1面で「人材業に次ぐ第2の柱」として位置づけられ、3兆円市場への参入を表明。 Awaji Well-being コンソーシアム(2026年4月開始)、淡路島の未病リトリート「THE PASONA natureverse retreat」(2026年6月23日開業)、 Wellness Cloud(ドクターズ提携)を連動させる構造で、 淡路島=実証フィールド、本州=BPOソリューションという両輪体制を構築している。 また2026年2月13日の中尾社長日経インタビューでは「派遣スタッフの労務相談の6割をAIで対応済み」と明かされ、 AI導入の現場実装が進んでいることが判明した。

しかし戦略の表通りにはリスクも累積している。 ①ベネ・ワン売却で利益柱を喪失した後の収益再構築の遅れ(2025年5月期は営業赤字、2026年5月期も第3四半期で再失速)、 ②PBR 0.51倍の解散価値割れが慢性化(VISION 2030のPBR 1倍超目標は5年で約2倍化が必要)、 ③官公庁BPO案件の評判リスク(持続化給付金・五輪日当・ワクチン過大請求)が継続的なESG格付・入札評価でのディスカウント要因に、 ④淡路島集中投資のリスク(万博特損48億円のような大型一過性費用、観光需要への依存)、 ⑤創業者依存からの脱却ガバナンス(若本→中尾の3か月二段階委譲は成果と安定性のトレードオフ)、 ⑥AI採用スタートアップ(HireVueMercorParadox)による中抜きリスク。

2026年5月期 第3四半期の現実 — 通期黒字転換シナリオの壁

2026年4月14日、パソナグループは2026年5月期 第3四半期決算を発表した。 累計業績は売上2,294.7億円(前年同期比+0.2%)・営業損失13.3億円・経常損失2.9億円・親会社株主帰属四半期純損失18.9億円。 2026年1月14日の通期上方修正(経常利益が前年同期比4.3倍と好スタート)からわずか3か月で再失速した形だ。 健康経営・淡路島・万博レガシー(モンスターハンター ブリッジ移設等)への先行投資による販管費増加が利益を圧迫している。

比較すると、同時期のパーソルHD(2026年3月期3Q)は売上+6.3%・営業利益+11.5%、 リクルートHDも売上ほぼ横ばいながら米国Indeed/Glassdoorで構造改革を進めて利益率を維持している。 パソナの「規模・収益効率での劣後」がさらに鮮明化している格好で、 通期計画の営業利益25億円・純利益5億円達成には第4四半期だけで約38億円超の営業利益が必要となる。 これは過去のQ4実績と比べても極めて高い水準で、再度の業績下方修正リスクを市場は織り込みつつある。

パソナが照らす「日本のHR3強」の第3の道

パソナグループは、1952年生まれの南部靖之が関西大学卒業1か月前の23歳で「家庭の主婦の再就職」を理念に大阪の小さな事務所で「テンポラリーセンター」を創業して50年、 女性活用・地方創生・官公庁BPOで「社会の問題点を解決する」を体現してきた、日本HR業界の挑戦者である。 1986年労働者派遣法施行、1993年パソナへの社名変更、2001年ナスダック・ジャパン上場、 2007年持株会社化と東証一部上場、2008年淡路島地方創生事業開始、2020年淡路島本社移転発表、 2024年ベネフィット・ワン売却(売却益1,120億円)、2025年5月31日の創業者退任、 2025年8月22日の若本→中尾の二段階世代交代、2025年7月17日のVISION 2030発表、 2026年3月23日の健康経営3兆円市場参入—— これらはすべて、創業者・南部の「個別の社会課題を一つずつ事業化する」という総花的問題意識を時代に応じて翻訳してきた連続的な軌跡として読むべきだ。

リクルートが「米国Indeed/Glassdoorによるグローバル・HRテックOS化」で世界覇権を狙い、 パーソルが「アジアのフルスタックHR事業者・テクノロジードリブン」で深く広く戦うのに対し、 パソナは「社会課題解決の総花性」を独自軸として50年戦ってきた。 この戦略の違いは、リクルートが調整後EBITDAマージン40%級のHRテクノロジー・グロースエンジンに依存し、 パーソルが派遣・BPO・紹介の人的サービス事業の集合体として営業利益率約4%を保つ一方、 パソナは派遣マージン30.8%・営業利益率△0.4%・PBR 0.51倍という「質×総花×解散価値割れ」の特異な収益構造に縛られている事実にも反映されている。

しかし少なくとも一つ確かなのは、ベネフィット・ワン売却で1,120億円の現金を手にし、創業者・南部靖之が49年の経営から退き、 若本会長CEO・中尾社長による「BPO×テクノロジー」体制と健康経営3兆円市場参入で「第2の創業」を目指す2026年が、 パソナグループの50年史における最大の戦略転換点として歴史に刻まれるということだ。 PBR 0.51倍の解散価値割れから売上4,000億円・PBR 1倍超のVISION 2030達成に至る道のりは険しく、 2026年5月期第3四半期の再失速はその難易度を改めて示している。 しかし南部靖之が23歳のとき大阪の小さな事務所で「家庭の主婦の再就職を応援する」と志した1976年から半世紀—— 「社会の問題点を解決する」を掲げる挑戦者は、リクルート・パーソルとは別の「第3の道」を歩み続ける。 日本のHR3強それぞれが異なる方向に進化するこの瞬間こそが、AI時代の労働市場を映す日本社会の鏡なのかもしれない。

理解度チェック

理解度チェック

問題 0 / 50%
Q1

パソナグループの創業者・南部靖之が1976年2月にテンポラリーセンター株式会社を創業した時の年齢、創業場所、創業の背景として正しい組み合わせはどれか?

キーボード: 1〜4 で選択、Enter で回答