企業概要

ラクスルは、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンに掲げ、 デジタル化が遅れた伝統産業にインターネットを持ち込み、産業構造そのものを変革するBtoBプラットフォーム企業である。 A.T.カーニー出身の松本恭攝(まつもと やすかね)が2009年に25歳で創業し、 印刷会社の非稼働時間をシェアリングするという独自のビジネスモデルで 印刷ネット通販業界首位に到達。その後、広告(ノバセル)、物流(ハコベル)、IT統制(ジョーシス)、 金融(ラクスルバンク)へと事業を拡張し、中小企業の経営インフラを多面的に支えるプラットフォームへと進化している。

2025年12月、ラクスルは米ゴールドマン・サックスと組んで約1,300億円のMBO(経営陣による買収)を発表。 2026年3月にTOBが成立し、東証プライム市場からの上場廃止が決定した。 経営陣が議決権50%を保持するという異例のスキームで、 短期的な市場評価に縛られない長期的な事業変革と積極投資を加速させる構えだ。 FY2026(2026年7月期)の売上高ガイダンスは750〜770億円、 長期EBITDA目標は100億円——「仕組みを変える」挑戦の第二章が始まっている。

創業ストーリー・沿革

創業者の松本恭攝は、1984年富山県生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、 外資系コンサルティングファームA.T.カーニーに新卒入社した。 リーマンショック後のコスト削減プロジェクトに従事する中で、 人件費・プロモーション費・物流費など間接費を分析。その結果、 印刷コストの削減余地が最も大きいことを発見した。

印刷業界は市場規模約5兆円と巨大でありながら、デジタル化が著しく遅れていた。 大日本印刷・凸版印刷の大手2社がシェア50%超を占め、残りは多重下請け構造の中小印刷会社が担う。 印刷機の稼働率はわずか50〜60%——つまり設備の半分近くが遊んでいた。 この構造的非効率をテクノロジーで解決できると確信し、2009年9月、資本金200万円で起業。 当時25歳だった。

2010年4月に印刷通販の価格比較サービス「印刷比較.com」をローンチ。 しかし比較サイトでは根本的な課題解決にならないと気づき、 2013年3月に印刷会社の非稼働時間を直接活用する受発注プラットフォーム「ラクスル」を開始。 これがビジネスモデルの転換点となった。 2014年にはテレビCMを開始し、知名度を一気に拡大。 「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、 印刷だけでなく物流(ハコベル、2015年)、広告(ノバセル、2020年)、 IT統制(ジョーシス、2021年)と、レガシー産業のDXを次々に横展開していった。

ラクスル創業

松本恭攝がA.T.カーニーを退職し、資本金200万円でラクスル株式会社を設立。印刷業界の構造的非効率の解決を志す

印刷比較.com ローンチ

印刷通販の価格比較サービスを開始。同年9月に「ラクスル」に改称

印刷受発注PF「ラクスル」開始

印刷会社の非稼働時間を活用するシェアリングモデルに転換。現在のビジネスモデルを確立

シリーズB 15.5億円調達

大型資金調達を実施。同年7月にテレビCM放映を開始し、知名度を一気に拡大

シリーズC 40億円調達

累計調達額が約77億円に到達

物流PF「ハコベル」開始

印刷に続く第2の産業変革として物流DXに参入。荷主と運送会社のマッチングを開始

東証マザーズ上場

証券コード4384で上場。想定時価総額約385億円

東証一部に市場変更

上場からわずか1年3ヶ月で東証一部へ昇格

マーケティングPF「ノバセル」開始

運用型テレビCMサービスを提供開始。テレビCMの効果をデータで可視化する新市場を開拓

コーポレートIT「ジョーシス」開始

ITデバイス・SaaS統合管理クラウドを第4事業として立ち上げ。翌年2月に分社化

ダンボールワン子会社化・事業会社制へ移行

梱包材EC首位のダンボールワンを買収。ノバセル・ジョーシスを分社化し、グループ経営体制を構築

セイノーHDとハコベルJV設立

ハコベルを分社化し、セイノーHD(50.1%)とラクスル(49.9%)のジョイントベンチャーに。物流のオープンPF構築を目指す

CEO交代

永見世央が代表取締役社長・グループCEOに就任。松本恭攝は取締役会長に移り、ジョーシスCEOに専念

印刷ネット通販で業界首位に

プリントパックを抜いて印刷EC業界売上No.1を達成。連続的M&Aで事業領域を拡大

ラクスルバンク設立

GMOあおぞらネット銀行と連携し、中小企業向け金融プラットフォーム事業に参入

本社を麻布台ヒルズに移転

森JPタワー19階にグループ4社が入居。週4日出社のハイブリッドワーク体制

MBO発表

ゴールドマン・サックスと約1,300億円のMBOを発表。TOB価格1,710円/株(後に1,900円に引上げ)

MBO成立・上場廃止へ

TOBが成立し、東証プライム市場からの上場廃止が決定。経営陣が議決権50%を保持する体制で非公開化

ビジネスモデル

ラクスルのコアビジネスモデルは、印刷会社の「非稼働時間」をインターネットで束ねるシェアリングプラットフォームだ。 日本の印刷業界では、大手2社(大日本印刷・凸版印刷)がシェア50%超を占め、 残りの中小印刷会社は多重下請け構造の中で疲弊している。 印刷機の稼働率は50〜60%程度で、設備の約半分が遊休状態にある。

ラクスルはこの非効率に着目し、自社で印刷工場を持たずに、 全国の印刷会社の空き時間を仮想的な巨大印刷工場として束ねるモデルを構築した。 ユーザー(主に中小企業)はラクスルのプラットフォーム上で名刺・チラシ・ポスター等を発注し、 ラクスルが最適な印刷会社に自動的に振り分ける。 印刷会社にとっては空き時間の収益化、ユーザーにとっては従来比最大90%OFFの低価格が実現する。

graph LR
    subgraph ユーザー側
      A[中小企業<br/>個人事業主] -->|発注| B[ラクスルPF]
      C[大企業<br/>エンタープライズ] -->|一括管理| B
    end
    subgraph ラクスルPF
      B -->|需給マッチング<br/>自動振分け| D{最適化<br/>エンジン}
      D -->|価格・納期<br/>品質で最適化| E[発注管理]
    end
    subgraph サプライヤー側
      E -->|印刷| F[印刷会社A<br/>非稼働時間活用]
      E -->|印刷| G[印刷会社B<br/>非稼働時間活用]
      E -->|印刷| H[印刷会社C<br/>非稼働時間活用]
    end
    style B fill:#8b5cf6,color:#fff
    style D fill:#f97316,color:#fff
ラクスルのシェアリングプラットフォームモデル:自社工場を持たず、全国の印刷会社の非稼働時間を束ねて仮想的な巨大印刷工場を構築

このモデルの最大の強みはスケーラビリティだ。 自社工場を持たないため固定費が軽く、需要増に対して提携先を増やすだけで対応できる。 粗利率は30〜33%(調達PF)と安定しており、 テイクレートは固定ではなくサプライヤーに提供する価値に応じて変動する「可変テイクレートモデル」を採用している。

さらにラクスルは、この「レガシー産業のシェアリング」というパターンを 印刷以外の産業にも横展開してきた。 物流(ハコベル)ではトラックの空き時間を、広告(ノバセル)ではテレビCM枠を、 それぞれデータドリブンで最適化するプラットフォームを構築している。 収益の93.7%は調達プラットフォーム(印刷EC)が占めるが、 SaaS型のストック収益(ノバセル効果測定ツール、ジョーシス、ペライチ)の比率拡大も進めている。

プロダクト・サービス

ラクスルグループは、事業会社制のもとで5つの事業を展開している。 各事業が独立した意思決定権を持ちつつ、グループ全体でCxO体制による横断的な戦略統括を行う。 さらに連続的なM&Aにより、ダンボールワン(梱包材)、ハンコヤドットコム(印鑑)、 トートバッグ工房、ビニプロ(ビニールカーテン)、ペライチ(HP制作)など多数のサブブランドを傘下に収めている。

事業 運営会社 サービス概要 競争優位性 主要KPI
ラクスル
(印刷EC)
ラクスル株式会社 名刺・チラシ・ポスター・封筒等のネット印刷。ダンボールワン・ハンコヤドットコム等のサブブランドも展開 自社工場不要のPFモデル。印刷会社の非稼働時間活用で価格競争力と品質を両立 登録331万人
業界首位
粗利率30〜33%
ノバセル
(広告)
ノバセル株式会社 運用型テレビCMの企画・制作・放映・効果測定。ノバセルアナリティクス(SaaS)、ノバセルトレンド、ノバセルコネクト(CTV広告) 特許取得の「瞬間指名検索増分」計測技術。テレビCMのROIをデータで初めて可視化 売上38.3億円
粗利率55〜65%
FUSION買収で「ネクストマス」構想始動
ハコベル
(物流)
ハコベル株式会社
(セイノーHD JV)
トラック手配PF(約3万台の車両ネットワーク)、配車計画・管理・動態管理の物流DXシステム セイノーHDの全国ネットワーク × ハコベルのテクノロジー。物流二法対応コンサルも提供 持分法適用
(非連結)
山九・福山通運・日本郵政キャピタル等も出資
ジョーシス
(IT統制)
ジョーシス株式会社 ITデバイス・SaaS統合管理クラウド。アカウント発行/削除の自動化、シャドーIT検知、コスト可視化 40カ国以上に展開するグローバルSaaS。累計319億円超の資金調達。松本会長がCEOを兼務 導入700社超
G2 SaaS管理部門1位
開発拠点: インド
ラクスルバンク
(金融)
ラクスルバンク株式会社 GMOあおぞらネット銀行と連携した中小企業向け法人金融PF 331万ユーザーの顧客基盤を活用。印刷・集客・決済・金融のEnd-to-End提供 2024年11月設立
新規事業フェーズ

財務・成長指標

ラクスルは上場以来、売上高CAGR 27.1%、EBITDA CAGR 57.3%という高い成長率を維持してきた。 FY2025(2025年7月期)の連結売上高は619.5億円(前年比+21.2%)、 粗利益は216.8億円(同+26.1%)、営業利益は38.2億円(同+51.3%)と、 利益成長が売上成長を大きく上回る「Quality Growth」を実現している。

ラクスル 売上高・営業利益推移(億円)※7月期決算

セグメント別では、調達プラットフォーム(印刷EC)が売上の93.7%を占める圧倒的な主力事業だ。 粗利率30〜33%で安定推移し、営業利益率は12.8%に到達。 一方、マーケティングPF(ノバセル)は売上38.3億円で粗利率55〜65%と高いものの、投資フェーズで営業赤字が続く。

FY2025 セグメント別業績(億円)

指標 FY2024 FY2025 FY2026予想
売上高 511.2億円 619.5億円(+21.2%) 750〜770億円(+21〜24%)
粗利益 171.8億円 216.8億円(+26.1%) 260〜270億円
営業利益 25.2億円 38.2億円(+51.3%) 45〜50億円
EBITDA 51.4億円 60.9億円 72〜77億円
登録ユーザー 331万人
エンタープライズNRR 131.7%
エンタープライズ平均購入額 約100.7万円/年

資金調達・IPO

ラクスルは上場前にシリーズA〜Dで累計約77.2億円を調達。 2018年5月に東証マザーズに上場した際の想定時価総額は約385億円だった。 上場後はグロース株として評価され、2021年頃には株価5,000〜6,000円台まで上昇したが、 金利上昇局面で大幅調整。業績自体は堅調に成長を続けたものの、 株価は低迷し、このギャップがMBOの背景の一つとなった。

市場環境・競合

ラクスルのコア市場であるネット印刷通販市場は、2025年時点で推定1,500億円超の規模に成長している。 しかし印刷業界全体(約5兆円)のEC化率はわずか5〜6%、 ダンボール市場(約1.8兆円)に至っては1%程度と、オンラインシフトの成長余地は極めて大きい

2024年にラクスルはプリントパックを抜いて印刷ネット通販業界首位に到達した。 上位3社(ラクスル・プリントパック・グラフィック)で市場の約67.8%を寡占化しており、 中小事業者の淘汰が進んでいる。 ただし2025年10月にプリントパックが35%の大幅値下げを断行するなど、 価格競争は依然として激しい。

企業 モデル 売上高 特徴 差別化ポイント
ラクスル PF型
(自社工場なし)
576億円
(調達PF)
全国の印刷会社の非稼働時間を活用。テクノロジーとUI/UXに強み エンタープライズ戦略(NRR131.7%)、M&Aによる多角化
プリントパック 自社工場型 422億円
(2024年4月期)
京都・滋賀に大規模自社工場。2025年10月に35%値下げの価格攻勢 最安値路線、短納期対応力、品質の一貫性
グラフィック 自社工場型 229億円
(2021年6月期)
京都拠点。色校正サービス等で高品質路線 デザイナー・品質重視層に強い、中価格帯

ラクスルの競争優位はプラットフォーム型ゆえのスケーラビリティとエンタープライズ戦略にある。 従業員500名以上の大企業向けの平均購入額は年間約100.7万円、NRR 131.7%と高く、 価格競争に巻き込まれにくいポジションを確立している。 一方、プリントパックの値下げ攻勢はSMB(中小企業・個人事業主)セグメントに影響を与える可能性がある。

その他の事業領域の市場環境

ノバセルが属する運用型テレビCM市場は、2020年の約50億円から2025年には約920億円規模に急拡大している。 電通グループの「テレシー」が強力な競合だが、ノバセルは特許取得済みの効果測定技術で差別化している。 ハコベルの物流DX市場は2030年に約1.2兆円への成長が予測されており、 CBcloud(PickGo)との直接競合が進む。 ジョーシスのIT資産管理市場では、マネーフォワードAdmina(シェア20.7%)に対し ジョーシスは11.3%で3位。ただし40カ国展開のグローバルスケールは国内競合にない強みだ。

組織・文化

ラクスルは2022年に事業会社制(分社化)を実施し、 各事業を独立した子会社として運営するグループ経営体制に移行した。 経営の意思決定は5人のCxOボードメンバーによる「ゴレンジャー体制」が担い、 CxOに序列はないと明言されている。 2023年8月には創業者の松本恭攝がCEOから会長に退き、 CFO出身の永見世央が代表取締役社長・グループCEOに就任。 松本はジョーシスのCEOとしてグローバルSaaS事業に専念している。

graph TD
    A[ラクスルグループ<br/>グループCEO: 永見世央<br/>会長: 松本恭攝] --> B[ラクスル<br/>印刷・集客EC PF<br/>本部長: 渡邊建]
    A --> C[ノバセル<br/>マーケティングPF<br/>社長: 田部正樹]
    A --> D[ハコベル<br/>物流PF<br/>セイノーHD JV]
    A --> E[ジョーシス<br/>コーポレートIT<br/>CEO: 松本恭攝]
    A --> F[ラクスルバンク<br/>金融PF<br/>CEO: 杉山賢]
    B --> B1[ダンボールワン]
    B --> B2[ハンコヤドットコム]
    B --> B3[トートバッグ工房]
    B --> B4[ビニプロ]
    C --> C1[ペライチ]
    C --> C2[FUSION]
    C --> C3[オールマーケ]
    style A fill:#8b5cf6,color:#fff
    style B fill:#3b82f6,color:#fff
    style C fill:#f97316,color:#fff
    style D fill:#14b8a6,color:#fff
    style E fill:#ec4899,color:#fff
    style F fill:#eab308,color:#fff
ラクスルグループの事業会社制。各事業が独立した意思決定権を持ち、グループCxO体制で横断統括。ハコベルはセイノーHDとのJV、ジョーシスは創業者松本が直接CEO

企業文化: Raksul Style

ラクスルの行動指針「Raksul Style」は4つの柱で構成される。

スタイル 意味 具体例
Reality(高解像度) 現場を自分の目で見て、高解像度で課題を把握する エンジニアが実際に印刷工場に出向き、現場オペレーションを体験する文化
System(技術・仕組み化) 高度な技術と仕組み化で課題を解決する 非効率を排除し生産性を改善。独自の創意工夫で効果的なアプローチを提案
Transparency(情報共有) 意思決定の背景・文脈を開示し、情報の非対称性をなくす 各メンバーのミッション・担当領域を明確にして仕事を任せ合う
Team first(チーム構築) 採用・昇進に責任を持ち、メンバーの成果最大化を目指す オンボーディング、フィードバック、モチベーション維持でチーム全体の成功を実現

働き方はハイブリッドワーク制度を導入しており、 ビジネス部門はリモート原則週1日まで、テック部門は週3日まで。 フレックスタイム制(コアタイム11:00-15:00)を採用し、 月間平均残業時間は19.3時間(業界平均26.6時間より大幅に少ない)。 同性パートナーへの配偶者福利厚生適用など、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)にも積極的だ。

技術力・AI戦略

ラクスルの技術組織は、事業ごとに最適な技術選定を行う分散型アプローチを採用している。 主要スタックはサーバーサイドがRuby on Rails(メイン)とGo(新規サービス)、 フロントエンドがVue.js + TypeScript、 インフラはAWSをメインに構成管理にTerraform・AWS CDKを使用。 グローバル開発拠点として2020年にベトナム・インド(バンガロール)にCenter of Excellenceを設立している。

2025年にはCIO直下に「AIオペレーショングループ」を新設。 現場課題の実装・運用化、共通基盤の整備・標準化、横断展開とナレッジ・人材育成の3つの役割を担う。 ラクスルCMOは日本経済新聞で「AI活用10カ条」を提言し、 「人間に残る仕事を定義せよ」というメッセージを発信している。 技術選定の方針は「技術は手段、プロダクト価値の最大化が目的」。 新技術導入による不確実性・再負債化リスクを徹底排除し、 現戦力での成果最大化・シンプルさ・長期的バリューの3軸で判断する実践的な姿勢が特徴だ。

MBO・今後の戦略

2025年12月11日、ラクスルはゴールドマン・サックス傘下のR1株式会社によるMBOを発表した。 当初のTOB価格は1,710円/株(前日終値1,250円に対しプレミアム36.8%)だったが、 大株主の英運用会社ベイリー・ギフォード(6%超保有)が「価格が非常に低すぎる」と公に見直しを要求。 最終的に1,900円/株に引き上げられ、2026年3月10日にTOBが成立した。

項目 内容
MBO総額 約1,300億円(買付代金約1,132億円)
最終TOB価格 1,900円/株(当初1,710円から引上げ)
買収主体 R1株式会社(ゴールドマン・サックス傘下SPC)
議決権構成 ゴールドマン・サックス 50% / 松本恭攝 23.68% / 永見世央 26.32%
TOB成立日 2026年3月10日(買付期間終了)、3月11日に正式発表
上場廃止 2026年4月〜5月にスクイーズアウト完了後、東証プライム市場から上場廃止
非公開化の狙い 短期的な株式市場の評価に縛られず、10年単位の長期投資・大胆なM&Aを推進
スキームの特異性 経営陣が議決権50%を保持——PEファンド主導のMBOとしては異例

このMBOが注目される理由は、経営陣が議決権50%を保持する異例のスキームにある。 通常のPEファンドによるMBOではファンドが経営権を完全に掌握するが、 本件ではゴールドマン・サックスがラクスルの成長性を高く評価し、 経営陣の自律的な意思決定を尊重する姿勢を示している。

成長戦略: Quality Growth

非公開化後のラクスルは、「Quality Growth」(利益・キャッシュフローを伴う成長)を 基本方針として掲げている。中期目標として粗利益CAGR 20%、EBITDA CAGR 30%、 長期EBITDA目標100億円を設定。成長の3本柱は以下の通りだ。

1. オーガニック成長——印刷EC顧客基盤の拡大とクロスセル推進。 RAKSUL IDによる横断的なサービス連携を構築し、 エンタープライズ顧客の平均購入額(年間100.7万円)とNRR(131.7%)をさらに向上させる。

2. 連続的M&A——年間数件以上のM&Aを戦略的に実施。 「セグメントトップ企業」「特定の強みを持つ企業」を選定基準に、 BtoB受発注プラットフォームの横展開を加速する。 非公開化により情報開示の制約がなくなり、機動的なM&Aが可能になった。

3. 新規事業——ラクスルバンク(中小企業向け金融)とジョーシス(グローバルIT統制)が 次の柱候補。特にジョーシスは累計319億円超の資金調達を行い、 40カ国以上で展開するグローバルSaaSとして独立した成長軌道を描いている。

参考文献

理解度チェッククイズ

理解度チェック

問題 0 / 50%
Q1

ラクスル創業者の松本恭攝が、印刷業界に着目したきっかけとなった前職はどれか?

キーボード: 1〜4 で選択、Enter で回答