企業概要
HERPは、「スクラム採用」を提唱し、全社員が主体的に採用に参画する仕組みを実現するAI搭載型採用管理システム(ATS)を提供する 日本発のHR Techスタートアップである。 2017年、リクルート・エウレカ出身の庄田一郎が「採用の事務作業を自動化し、人事がより戦略的な業務に集中できるようにしたい」という思いから創業。 Slack連携を軸とした現場参画型の採用管理ツール「HERP Hire」は累計3,000社以上に導入され、 ITreview GRID AWARDで採用管理部門Leader 8期連続受賞という実績を持つ。
HERPのビジョンは「すべての採用における意思決定を、その次の挑戦を生み出すものに。」。 「企業は人で決まる。人は経験で決まる。」という信念のもと、 採用管理(HERP Hire)を起点に、AI採用支援(AI Recruiter)、リファレンスチェック(HERP Trust)、 採用データ分析(DataHub)、人材紹介会社向け求人管理(ジョブミル)、 スタートアップ特化型転職メディア(HERP Career)まで、 採用にまつわる7つのプロダクトを展開する「コンパウンドHR」企業へと進化を遂げている。
創業ストーリー・沿革
創業者の庄田一郎は、京都大学法学部を卒業後、リクルートに入社。 SUUMO営業を経て、リクルートホールディングスでエンジニア新卒採用を担当した。 候補者との面談後に深夜までExcelに記録を入力する日々の中で、 「採用業務の多くは事務作業に費やされている。もっと戦略的なことに時間を使えるはずだ」と強く感じたという。
2015年、マッチングアプリ「Pairs」で知られるエウレカに採用広報責任者として入社。 その後、カップル向けアプリ「Couples」のプロダクトオーナーとして事業開発にも従事した。 エウレカでの採用経験の中で、現場のエンジニアやデザイナーを巻き込んだ採用活動の成果を実感し、 「採用は人事部門だけの仕事ではない。現場主体の採用こそが、ミスマッチを防ぎ、組織を強くする」 という確信を持つ。
2016年末、エウレカ創業者の赤坂優・西川順に相談したところ、 「やりたいなら始めた方がいい」と背中を押され、2017年3月に株式会社HERPを設立。 共同創業者として京都大学法学部の同窓生である徳永遼(現COO)が参画。 赤坂・西川からのエンジェル出資で事業をスタートさせた。
当初は「採用事務の自動化ツール」として開発を始めたが、 ユーザーヒアリングを重ねる中で「Slackとの連携で現場メンバーへの情報共有が劇的に楽になった」 という声に着目。全社員が採用に参画する「スクラム採用」というコンセプトを提唱し、 2018年1月にHERP Hire β版を公開、2019年3月に正式リリースした。
株式会社HERP設立
庄田一郎・徳永遼がリクルート・エウレカの経験を元に創業。エウレカ赤坂優・西川順からエンジェル出資
HERP Hire β版公開
Slack連携を核とした採用管理システム。「スクラム採用」の概念を提唱
HERP Hire正式リリース
リリース5ヶ月で150社突破。IT/スタートアップ企業を中心に急成長
シリーズA 4.6億円調達
DCM Ventures・DNX Ventures・メルカリ小泉文明氏から調達。累計約5.1億円
HERP Nurture提供開始
転職潜在層を中長期で管理するタレントプールシステム
シリーズB 9.5億円調達
DNX Ventures(リード)・DCM Ventures・マネーフォワードから調達。導入900社突破
Parame事業買収(HERP初のM&A)
リファレンスチェックツールを取得。7月に「HERP Trust」として正式提供開始
HERP DataHub提供開始
ノーコード採用データ分析ダッシュボード。先行60社への導入を経て正式版リリース
HERP AI Recruiterβ版提供開始
面接自動書き起こし・書類選考AI・評価ドラフト自動生成。MIXIなど大手が導入
HERP Career正式提供開始
スタートアップ特化型転職メディア。求人数3万件超でNo.1を獲得
ビジネスモデル
HERPのビジネスモデルの核心は、「SaaS × マッチングプラットフォーム」のハイブリッドにある。 単なる業務効率化ツールにとどまらず、採用市場の三者——採用企業・人材紹介会社・求職者——を 一つのプラットフォーム上でつなぎ、データの好循環で全体のマッチング効率を高めるという構想だ。 庄田CEOはこの戦略を「コンパウンドHR」と名付け、 「次のSalesforceはHR領域から生まれる」と宣言している。
graph TB
subgraph Enterprise["採用企業(3,000社超)"]
E1["HERP Hire<br/>AI搭載ATS"]
E2["HERP AI Recruiter<br/>面接・選考支援AI"]
E3["HERP Trust<br/>リファレンスチェック"]
E4["HERP DataHub<br/>採用データ分析"]
end
subgraph Agent["人材紹介会社(1,000社超)"]
A1["ジョブミル<br/>求人自動集約DB"]
end
subgraph Seeker["求職者"]
S1["HERP Career<br/>スタートアップ転職メディア<br/>求人3万件超"]
end
subgraph Platform["データプラットフォーム"]
P1["求人情報の<br/>自動流通"]
P2["AIマッチング<br/>エンジン"]
end
E1 -->|"求人情報"| P1
P1 -->|"自動連携"| A1
P1 -->|"自動掲載"| S1
A1 -->|"候補者紹介"| E1
S1 -->|"応募"| E1
E2 --> E1
E3 --> E1
E4 --> E1
P2 --> S1
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収益構造
HERPの主な収益源はSaaS月額課金だ。 HERP Hireは月間応募数30名以下なら全機能無料で利用でき、 採用規模の拡大に応じてStarter(月額8,500円〜)→ Entry → Standardへとアップグレードする Product-Led Growth(PLG)モデルを採用している。 スタートアップが無料で使い始め、成長とともに有料化するという導線だ。
ジョブミル(人材紹介会社向け)もSaaS課金。 HERP Career(求職者向けメディア)は2025年12月の正式版リリース以降、 2025年6月から採用成功時のみ課金するモデルへ移行予定で、 将来的にはマッチング成果報酬が新たな収益柱になる可能性がある。
| プロダクト | 対象 | 課金モデル | 備考 |
|---|---|---|---|
| HERP Hire | 採用企業 | 月額SaaS(無料〜) | 月30応募まで無料。Starter ¥8,500/月〜。採用規模に応じた柔軟な料金 |
| HERP AI Recruiter | 採用企業 | HERP Hireオプション | 面接書き起こし・選考AI・評価自動生成。2025年10月β版開始 |
| HERP DataHub | 採用企業 | HERP Hireオプション | ノーコード採用分析ダッシュボード。2025年4月提供開始 |
| HERP Trust | 採用企業 | HERP Hireオプション | オンラインリファレンスチェック。2024年Parame買収で取得 |
| ジョブミル | 人材紹介会社 | 月額SaaS | 12種のATSと連携し求人を自動集約。1,000社超が利用 |
| HERP Career | 求職者 / 採用企業 | 求職者無料 / 成果報酬 | スタートアップ特化型。求人3万件超でNo.1 |
| HERP Nurture | 採用企業 | HERP Hire連携 | タレントプール管理。転職潜在層の中長期ナーチャリング |
プロダクト・サービス
HERPは2022年まで採用企業向けの単一プロダクト企業だったが、 2023年以降、マルチプロダクト・三方向プラットフォームへと急速にシフトしている。 庄田CEOが掲げる「コンパウンドHR」戦略は3つの軸で展開される。
| 戦略軸 | 担当 | 主要プロダクト | 概要 |
|---|---|---|---|
| 軸1: 企業向け支援の深化 | 採用カンパニー部門(約50名) | HERP Hire / AI Recruiter / Trust / DataHub / Nurture | 採用の全工程を包括的にカバー。AIで選考・面接・評価を自動化 |
| 軸2: マッチング力の向上 | 人材紹介部門(約10名) | ジョブミル | 企業と人材紹介会社の情報流通を滑らかに。12種のATS連携で求人を自動集約 |
| 軸3: 求職者ハブの構築 | 求職者部門(2025年12月新設) | HERP Career | 「転職のときはここを見ればいい」というポジション確立を目指す |
HERP Hire — スクラム採用を実現するAI搭載ATS
HERP Hireは、HERPの中核プロダクトである採用管理システム(ATS)だ。 最大の特徴はSlack/Chatwork連携を軸とした「スクラム採用」の実装にある。 応募があるとSlackチャンネルに自動通知が飛び、現場のエンジニアやデザイナーが チャット上で即座に候補者を評価・コメントできる。 ATS自体にログインしなくても採用プロセスに参加できる設計は、 日々Slackに常駐するIT企業のワークフローと完全にフィットする。
30社以上の求人媒体(Green、Findy、Forkwell、転職DRAFT、Wantedly、ビズリーチ、 AMBI、YOUTRUST、doda、リクナビNEXT、マイナビ転職、エン転職等)からの応募情報を自動集約。 特にエンジニア採用に特化した媒体のカバレッジは業界最多水準であり、 IT企業にとっての利便性は競合を大きく上回る。
HERP AI Recruiter — 採用プロセス全体をAIが支援
2025年10月にβ版を提供開始したHERP AI Recruiterは、 採用の書類選考からオファーまでの全プロセスをAIが支援するサービスだ。
| 機能 | 概要 | 効果 |
|---|---|---|
| 面接自動書き起こし・議事録 | オンライン面接に自動参加し、終了から約1分で議事録を生成 | MIXIの導入アンケートで約8割が「面接準備の負担軽減」を実感 |
| 書類一次レビュー | 選考基準に基づきAIが応募書類を分析・スクリーニング | 大量応募時の初期スクリーニング工数を大幅削減 |
| 面接準備資料の自動作成 | 候補者の職務経歴書から面接ガイドを自動生成 | MIXIアンケートで約9割が「候補者理解と面接品質の向上」を実感 |
| 評価ドラフト・連絡文面 | 面接後の評価や候補者への連絡文を自動作成 | 面接官の事後作業を大幅に軽減 |
| AIチャット | 面接設計、オファーレター作成、コミュニケーション戦略をAIに相談 | 採用担当者のナレッジギャップを補完 |
市場環境・競合
日本ATS市場
日本の採用管理システム(ATS)市場は急拡大を続けている。 2021年に約160億円だった市場規模は2024年に約300億円に達し、 2027年には約350億円(年平均成長率12%)に到達すると予測されている。 注目すべきは導入率がまだ36.6%にとどまっている点だ。 過半数の企業がATS未導入であり、労働人口の減少・DX人材不足・採用競争の激化を背景に 市場拡大の余地は極めて大きい。
競合比較
ATS市場は上位7社で全体の約42%を占めるものの、残り58%は多数のプレイヤーに分散する 極めて断片的な市場だ。 BOXIL調査(2025年3月、n=1,508)では、ジョブカン採用管理がシェア1位(9.62%)、 次いでSmartHR・リクナビHRTechが同率2位(各6.17%)。 HERPはTOP7には入っていないが、これは全業種・全企業規模を対象とした調査のためであり、 スタートアップ・IT企業セグメントではHERPの存在感は極めて高い。
| HERP Hire | HRMOS採用 | ジョブカン採用管理 | sonar ATS | Talentio | |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供元 | HERP | ビズリーチ | DONUTS | Thinkings | タレンティオ |
| ITreview評価 | 4.3/5.0 | 4.2/5.0 | 非公開 | 3.9/5.0 | 非公開 |
| 導入実績 | 3,000社超 | 非公開 | シェア1位(9.62%) | 1,200社超 | 非公開 |
| ターゲット | スタートアップ・IT企業 | 中〜大企業 | 中小〜大企業 | 中〜大企業(新卒に強い) | スタートアップ〜中堅 |
| 無料プラン | 月30名まで無料 | なし | 月30名まで無料 | なし | 月50名まで無料 |
| 有料最低価格 | ¥8,500/月〜 | 推定¥10万/月〜 | ¥8,500/月〜 | ¥22,000/月〜 | ¥20,000/月〜 |
| 求人媒体連携 | 30社以上 | 10種以上 | 20種以上 | 主要媒体対応 | 少数 |
| 特徴 | Slack-first設計。エンジニア採用媒体に圧倒的強み | ビズリーチ連携。データ分析に強い | 低コスト。25万社のバックボーン | 新卒大量採用のワークフロー自動化 | SmartHR/HireVue等HR Tech連携 |
財務・成長指標
HERPは未上場企業のため、売上高やARR(年間経常収益)は非公開だ。 しかし、資金調達の実績と主要KPIから成長の軌跡を読み取ることができる。
| ラウンド | 時期 | 調達額 | 主要投資家 | 導入企業数(当時) |
|---|---|---|---|---|
| エンジェル | 2017年11月 | 約2,000万円 | 赤坂優・西川順(エウレカ創業者) | — |
| シリーズA | 2019年8月 | 4.6億円 | DCM Ventures、DNX Ventures、小泉文明(メルカリ会長) | 150社 |
| シリーズB | 2021年10月 | 9.5億円 | DNX Ventures(リード)、DCM Ventures、マネーフォワード | 900社 |
| デット | 2022年 | 非公開 | Flex Capital、日本政策金融公庫 | — |
主要KPI
| 指標 | 数値 | 時点・備考 |
|---|---|---|
| 累計資金調達額 | 約15億円(エクイティ+融資) | シリーズBまでの累計 |
| 企業評価額 | 約49.6億円 | HERP Careers掲載情報 |
| HERP Hire導入企業数 | 3,000社以上 | 2026年時点。2019年の150社から約20倍 |
| ジョブミル利用社数 | 1,000社以上(人材紹介会社) | リリースから2年で達成 |
| HERP Career求人数 | 30,000件以上 | スタートアップ特化型No.1(2025年11月調査) |
| 従業員数 | 106名(2026年3月) | 2025年9月の88名から約20%増 |
| ITreview GRID AWARD | ATS部門Leader 8期連続受賞 | 顧客満足度4.3/5.0 |
注目すべきは導入企業数の成長カーブだ。 2019年のリリース5ヶ月で150社、2021年に900社、2025年に2,000社、 そして2026年には3,000社を突破している。 シリーズB(2021年10月)以降の新たなエクイティラウンドは公表されていないが、 2022年にFlex Capitalからデットファイナンスを実施しており、 「エクイティ市場の悪化を背景に希薄化を避け、ランウェイ延長で次回調達タイミングをコントロールする」 という戦略的な判断がなされている。
技術力・AI戦略
HERPの技術スタックは、日本のスタートアップとしては極めてユニークだ。 バックエンドの主要言語にHaskellを採用しているのは日本企業では稀有であり、 関数型プログラミングへの深いコミットメントが技術的な差別化を生んでいる。
graph LR
subgraph Frontend["フロントエンド"]
A["Cycle.js<br/>(テナント向けアプリ)"]
B["Next.js<br/>(外部公開ページ)"]
C["TypeScript + fp-ts<br/>(関数型プログラミング)"]
end
subgraph Backend["バックエンド"]
D["Haskell<br/>(Servant / Yesod)"]
E["Node.js<br/>(Koa.js / Hono)"]
F["GraphQL / gRPC<br/>(API/サービス間通信)"]
end
subgraph Infra["インフラ(AWS)"]
G["Amazon EKS<br/>(Kubernetes)"]
H["Istio<br/>(サービスメッシュ)"]
I["Argo CD<br/>(GitOps)"]
J["Terraform<br/>(IaC)"]
end
subgraph AI["AI / データ"]
K["AI Recruiter<br/>(面接書き起こし・選考AI)"]
L["AIマッチング<br/>(HERP Career)"]
M["MySQL<br/>(データベース)"]
end
A --> D
B --> E
C --> D
D --> G
E --> G
G --> H
I --> G
K --> D
L --> E
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style B fill:#3b82f6,stroke:#1e40af,color:#fff
style C fill:#3b82f6,stroke:#1e40af,color:#fff
style D fill:#dc2626,stroke:#991b1b,color:#fff
style E fill:#dc2626,stroke:#991b1b,color:#fff
style G fill:#f97316,stroke:#c2410c,color:#fff
style H fill:#f97316,stroke:#c2410c,color:#fff
style I fill:#f97316,stroke:#c2410c,color:#fff
style K fill:#8b5cf6,stroke:#6d28d9,color:#fff
style L fill:#8b5cf6,stroke:#6d28d9,color:#fff
技術スタックの特徴
Haskellはバックエンドの主要言語として採用されており、 ServantやYesodといったフレームワークで構築されている。 強い型システムによるバグの早期検出と、純粋関数による副作用の制御が、 採用管理という「データの正確性が求められるドメイン」に適していると判断されたためだ。 フロントエンドにもfp-ts(TypeScript向け関数型ライブラリ)を導入しており、 スタック全体で関数型プログラミングのパラダイムを徹底している。
インフラはAWS上のKubernetes(Amazon EKS)を基盤とし、 Istioによるサービスメッシュ、Argo CDによるGitOpsベースの継続的デリバリー、 TerraformによるInfrastructure as Codeを実現。 監視にはDatadogを採用し、パッケージ管理にはNixを使う徹底ぶりだ。 開発環境はGitHub Enterprise + GitHub Copilot、デザインはFigma、 プロジェクト管理はYouTrackを使用している。
エンジニアリング組織は3チーム体制——プロダクト開発チーム、プラットフォームチーム、 エンジニアリング戦略チームで構成され、技術発信は HERP TechHub(tech-hub.herp.co.jp)で個人ブログを集約する形式で行っている。 AI/ML、マイクロサービス、Rust、Python、dbt、Auth0、TCP通信などの低レベルなシステム知見まで、 幅広い技術トピックが発信されている。
組織・文化
HERPの組織文化は6つのバリューを軸に設計されている。 特徴的なのは、自社が提唱する「スクラム採用」を自ら実践(ドッグフーディング)している点だ。 全社員が採用活動に参画し、HERP Hireを使って自社の採用を行っている。
| バリュー | 内容 |
|---|---|
| ユーザー価値ドリブン | どんな時でもユーザーへの価値を軸に考える |
| 成果に向かう | 自分や他者ではなく、創出すべき成果に集中する |
| ATIで動く | 「圧倒的当事者意識(Attouteki Toujisha Ishiki)」。チーム・会社全体の課題に主体的に対応する |
| やってみよう! | 小さく実験し、仮説検証を繰り返して改善する |
| ストレートに伝える | 立場や役割にとらわれず、価値起点で率直に考えを伝える |
| 愛を持つ | 強い信頼関係で結ばれ、一人の人間として仲間と向き合う |
組織構成
2026年3月時点で従業員106名。 ファンクション型組織で、3事業部体制を取っている。 採用カンパニー部門(HERP Hire/AI Recruiter/Trust担当)が全体の約50%、 人材紹介部門(ジョブミル担当)が約10名、 求職者部門(HERP Career担当)は2025年12月に新設されたばかりだ。
経営チーム
CEO庄田一郎はリクルート→エウレカ出身。 京都大学法学部卒業後、リクルートでSUUMO営業・エンジニア新卒採用を経験し、 エウレカで採用広報責任者・プロダクトオーナーを務めた。 COO徳永遼は京都大学法学部の同窓生で、ビービットでの新規事業開発支援経験を持つ共同創業者。 取締役河井龍太郎は2020年にマッキンゼーから参画し、 HERP Hire・HERP Nurtureの事業責任者兼プロダクトオーナーを務める。
戦略・今後の展望
HERPの成長戦略は、「コンパウンドHR」プラットフォームの完成に集約される。 庄田CEOは「採用市場は1人が1社にしか就職できないゼロサムゲーム」という構造的制約を認識した上で、 採用企業・人材紹介会社・求職者の三方向を束ねるプラットフォームこそがこの制約を超える鍵だと考えている。
今後の成長ドライバー
① HERP AI Recruiterの本格展開: 2025年10月のβ版リリース以降、MIXIやナレッジワーク、GA technologiesなど大手企業が導入。 今後はメール送付・求人票作成・評価送信など、AIが実行できるタスクを拡大予定。 開発チームは現在3名で拡大採用中だ。
② HERP Careerによる求職者エコシステムの構築: 3万件超のスタートアップ求人でNo.1メディアの地位を確立。 AIマッチ度診断機能・面談オファー機能で求職者体験を差別化し、 「転職のときはHERP Careerを見ればいい」というポジション確立を目指す。 2025年6月以降の採用成功課金モデルへの移行で新たな収益源にもなりうる。
③ プロダクト間連携と個人ID統一: 将来的にはリファレンスチェックデータの携帯、統一チャット機能など、 個人IDを軸としたプロダクト横断連携を構想している。 さらに金融事業への拡張の可能性も視野に入れており、 HR領域のデータを活かした新規事業の芽が見え始めている。
課題・リスク
一方で、以下の構造的な課題に直面している。 スタートアップ・IT企業セグメントの天井: 日本のスタートアップは約1万社。ATS市場全体の15〜20%程度(2027年で推定50〜70億円規模) にとどまり、ニッチ特化が強みであると同時に成長の上限にもなりうる。 大企業・新卒採用への拡張の壁: 新卒一括採用に必要なイベント管理・適性検査連携・LINE連携が未対応であり、 大組織に必要な細かな権限管理もシンプル設計が裏目に出る可能性がある。 大手プレイヤーの統合化圧力: SmartHRやfreeeなど人事労務SaaSが採用管理に進出し、 「人事トータルソリューション」としてバンドル提供する動きは、単機能ATSであるHERPへの脅威だ。 資金面: シリーズB(2021年10月)以降の新規エクイティ調達が確認されておらず、 コンパウンドHR戦略の実現に必要な投資余力が課題となる可能性がある。
理解度チェック
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